東南アジアのラオス。
この国で、今20代の若者たちの手によって大きな変革が生まれようとしている。
ラオスで独立以来、30年に渡って続く社会主義は、今、暮らしの中のあらゆる面で変化をとげつつある。 その変革を最も象徴するのが、「音楽」だ。
それまでラオスには、古い民謡などの伝統音楽しかなかったが、改革・解放路線によって一気にお隣の タイを中心としたアジア各国の最先端のポップスが町に溢れ出している。
そうした中、ラオス語で等身大の若者の気持ちを歌うポップスが若者たちの心をつかみ始めている。 なかでも、19歳の歌手ナリンは、去年12月にデビューしたばかりだが、人気急上昇。
「ラオス語でラオスの人たちのために歌いたい 」というナリンの姿を紹介。
ラオスの首都、ビエンチャンの空港に飛行機で降り立つと、これぞラオスという独特な匂いが鼻をつきます。 干し草と、土と、一面に漂っているどこかで焼畑をしているような煙たい匂い。
でも決して嫌な匂いじゃない、むしろホッとするというか、子供のころに嗅いだことがあるような、どこか懐かしい記憶を思い起こさせる匂いです。
旅行雑誌などでは「地上の楽園」とか「微笑みと癒しの国」というキャッチコピーで紹介されている一方で、経済的にはまだまだ発展途上の段階にあるラオス。
今回取材したのは、そんなラオスの若者たちの間で人気を集めているという19歳の歌手の女の子です。
彼女の名前は、ナリン。物静かで控えめ、というのがいわゆるラオスの女性の特徴なのですが、ナリンは現地の人も驚くぐらい、自己主張の強い勝気な女の子でした。
カメラが回っていても、自分の気が乗らなければ「撮るのはやめて!」と詰め寄ってくるほど。 取材OKって、君が言ったんじゃない…。こちらがほとほと弱り果て、撮影を中断せざるをえなくなったこともしばしば。 そんなナリンの、よく言えばお転婆な性格は番組のところどころに出ています。
そして、どうしてナリンがカメラの前で強気であろうとしたのか、その理由も番組を見て頂ければ分かってもらえるのではないかと思っています。
歌手になりたい。
その夢は自分の夢であると同時に、ラオスに暮らす人たちみんなの未来を乗せた夢…。
19歳の、未熟であっても熱い思いを込めたナリンの歌を、ぜひ聴いてみてください。